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虚血性視神経症 Ischemic Optic Neuropathy(ION)

網膜で受容された光を脳に届ける視神経を栄養している動脈が狭くなることで起こる疾患です。片眼に突然おこり上あるいは下半分が見えなくなることが多く、中心部分が見えなくなる場合もあります(両眼おきる可能性も20%程度あることが知られています)。非動脈炎型動脈炎型の2つの病型が存在します。

分類

非動脈炎型

明らかな原因とされる病態は見つかっていません。しかし、動脈硬化を引き起こす要因(糖尿病、高血圧、喫煙など)、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、薬物(アミオダロンなど)が危険因子と考えられています。起床時に視力障害がみられることが多いため、夜間の低血圧も原因なのではないかと報告があります。また、もともと視神経乳頭が小さいと血管閉塞しやすく本症を発症しやすいとも言われています。最大40%の患者さんで、ある程度有用な視力に自然回復すると報告されています。

動脈炎型

巨細胞性動脈炎によって引き起こされます。巨細胞性動脈炎は、大動脈またはその主要な枝に起こる肉芽腫性動脈炎で、側頭動脈という頭の外側にある動脈がしばしば傷害されることから、「側頭動脈炎」とも呼ばれます。通常50歳以上の人に発症し、主に首、肩や太もも、臀部の筋肉が痛くなるリウマチ性多発筋痛症が約50%に併発するといわれています。女性に多く、日本人では10万人に1.4人程度の発症頻度であり、遺伝素因は明らかではありません。

症状

視力障害は一般的に急速(数分~数日)かつ痛みを伴いません。動脈炎型では、全身倦怠感や筋肉痛、拍動性・片側性の側頭部痛などの症状がみられます。視力も低下し、対光反射も低下(あるいは消失)します。

検査・診断

視神経の障害のため対光反射低下(あるいは消失)の確認、視力検査、視野検査を実施します。

眼底検査では、視神経乳頭は腫脹しており、その周囲に出血がみられる場合が多いです。また、視神経乳頭が非動脈炎型では充血するのに対し、動脈炎型では蒼白化します。

特に重要なのは動脈炎型を除外することです。なぜなら動脈炎型は速やかに治療を開始しなければ他眼にリスクが生じるからです。そこで動脈炎型or非動脈炎型の判断のために採血(赤沈、血算およびC反応性タンパク(CRP)など)を実施します。動脈炎型では特に赤沈やCRPが亢進します。また、巨細胞性動脈炎が疑われる場合は側頭動脈生検を可能な限り早く行うべきであり、大学病院に紹介いたします。

進行性の視力障害を呈する症例では、頭蓋内圧迫病変を除外するためにCTまたはMRIを行う場合があります。

治療

非動脈炎型

疑われる原因または危険因子をコントロールする以外に治療方法は存在しません。つまり、生活習慣病が持病にある方は、しっかりとかかりつけ医と連携しながら普段から治療いただくことで予防を徹底していただくことが重要です。

動脈炎型

発症していない方の健眼における発症予防のために、ステロイド剤の経口投与で治療開始します。視力障害も懸念される場合はステロイドの点滴も考慮する場合がありますので、しかるべきタイミングで大学病院などの専門施設にご紹介いたします。

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