緑内障手術 Glaucoma Surgery
院長の専門分野
点眼以外の緑内障の治療には、レーザー治療と観血的治療があります。それぞれについて説明いたします。
レーザー治療
選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT:Selective laser trabeculoplasty) 当院で対応可
緑内障治療は点眼が基本ですが、点眼治療でも眼圧が充分に下がらない場合は、選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT:Selective laser trabeculoplasty)というレーザー治療が必要な場合があります。線維柱帯に弱いレーザー光線を当てて、⽔の流れを良くして眼圧を下げる治療です。 レーザー光線の熱作⽤ではなく衝撃波を利⽤して虹彩や隅⾓の⼀部を切開し房⽔の流れをよくしたり、房⽔の流れのバイパスを作るという治療です。
レーザー虹彩切開術(LI:Laser iridotomy) 当院で対応可
⽩内障の進⾏やチン⼩体の脆弱化による⽔晶体亜脱⾅などにより線維柱帯が物理的に閉塞すると、房⽔が排出されず眼圧が急激に上昇します。このような病態を急性緑内障といいます。眼圧が著しく上昇すると急激な視⼒低下、強い眼痛、充⾎、頭痛、吐気などの症状がみられます。このような状態が1~2⽇間持続すると失明に⾄ります。急性緑内障発作を改善するためには眼圧降下剤による点眼や点滴を⾏い、虹彩周辺部にレーザーを照射し切開孔を開け、房水の流れる水路を作る、レーザー虹彩切開術(LI:Laser iridotomy)を実施します。LIを施⾏しても眼圧が低下しない場合には、緊急で⼿術を施⾏する必要があります。狭隅⾓(前房の空間が小さい)では急性緑内障発作のリスクが⾼いため、予防的にLIをする場合があります。
観血的手術(外科的手術)
緑内障の外科的手術方法は大きく3つに分類されます。
1. 線維柱帯切開術:線維柱帯の網目構造の目詰まりが起こっている場合に、この網を破って広げることで房水の流れを改善する治療です。
2. 線維柱帯切除術:線維柱帯そのものを切除し、さらに白目(強膜)の一部を切除することで前房と結膜下をバイパスし、房水を持続的に眼外へ排泄させる濾過手術です。
3. チューブシャント:金属のシャントを用いて前房と結膜下をバイパスし、房水を持続的に眼外へ排泄させる濾過手術です。
眼内法による線維柱帯切開術 当院で対応可
黒目(角膜)の上に隅角鏡をおいて線維柱帯を観察しながら、3mm程度に切開した角膜からマイクロフックを眼内に挿入し、切開します。
線維柱帯を切開すると出血します。手術終了時に止血を確認していても、じわじわと出血が続き、翌日眼帯を外して眼圧を測定すると高眼圧となり、診察時も前房出血を観察する場合があります。この高眼圧は、出血が自然と吸収されることで正常値に安定化することが多いですが、数日経過しても維持されてしまうと、視神経が障害され視野障害につながります。そこで当院では、白内障手術の途中で本術式を展開することで、眼内洗浄により逆血をできるだけ除去、止血確認を徹底し、術後の高眼圧を防ぐよう努めます。